大学を卒業していなければ、業務中座ることも許されないのか。②

前回の続き。

 

異動初日、工場の応接間にてこれからの説明を受ける。

部屋には4名。

工場長・工場次長・私。

そして同じく本社から工場異動となった、私の3つ年上の先輩。

 

 

「明日よりうちの工場の製造ラインに入ってもらう」

 

 

そう言い渡された。期間はおそらく1年程度になるだろうと言われた。

 

なぜ具体的な期間を定めないのかと不満はあったが、

まあ会社にも事情があるのだろう、と自己解釈した。

 

1年程度ならば、すぐ経過するだろうと思ったし、もとより異動を承諾済みでの入社。

異動が不満だと会社にとやかく言うことは、ナンセンスなのだ。

さらに前回の記事でも書いたが、メーカー勤務として現場を経験することは、大いに意義がある事だと思っていた。

 

 

配属となる製造ラインに案内される。

 

ガシャン、プシュー..

 ガシャン、プシュー..

 

ゼイゼイ...ハアハア...

 

 

 

――その新しい職場を一目見て、

先刻まで綺麗な応接室で抱いていた“大儀”は、所詮は口先で、

本社という温室で抱くただの現場を知らない者の“理屈”に過ぎなかったということを思い知らされた。

 

 

「俺は、明日からここで働くのか―――」

 

 

身体に思わず引きつったのを覚えている。